二 股


まっちゃんは、昔、二股をかけたことがある。
短い期間ではあったが。
今でも信じられないが、本当の話である。
一人は紹介してもらったが、いい娘だった。
その後、まっちゃんとデニーズで話をした。
「なかなか、いい娘そうじゃん。」
「あ〜、あれは、本命じゃないよ。」
「何?お前、まだ本命がいるの?」
「あたりまえじゃん。すげ−可愛いやつ!」
「なんだよ?おまえ、二股か?」
「ピンポーン!」
「はっきり言っとく!男はやっぱ二股だな。二股だよ。」まっちゃんかっこいい。
しかし数日後、期待どおり、やっぱりまっちゃんは、二人からふられた。しかも本命の娘は三股をかけていて、その内の一人と結婚した。
それから、まっちゃんと会った。
「何か、おかしいと思ったんだよ。前もコンサート一緒に行ったとき、お兄ちゃんと言う人が付いてきて、3人で座ったんだけど、俺は、彼女の横じゃなく、お兄ちゃんの横なんだよね〜。帰りも二人で帰ったんだよなー。」
「ば〜か。おまえ、もっと早く気づけよ!それ付き合ってんだよ。兄弟じゃねーよ。おまえはダシなんだよ。」
「そ〜か。そ〜だったんだ。だけどお兄ちゃんて言ってたんだけどな〜。」
「ったく、お兄ちゃんと結婚するか?! いいなー、おまえは幸せな奴で。」
「幸せじゃないよ。ふられたんだから。」
「でもさ〜。もう、ふっきれた。彼女にふられた時さ、彼女の鼻から鼻毛出ててさ、それでもうどうでもよくなっちゃった。」
「はい? あっ、そう。」
まっちゃん本当に幸せな奴。